VOCALOIDを使って作った楽曲の商用利用で気をつけるべきことは?
コミケやM3といったイベントで、ボカロの音声やキャラクタを活用した小規模な頒布や、非営利での利用については、PCL(ピアプロ・キャラクター・ライセンス)などに規定されていますが、今回のクラウドファンディングのような、商用利用ではどうなるのでしょう?
今回、私自身がクリアしなければならない問題となりますので、調べてみました。
VOCALOIDと初音ミクは全くの別モノと考える
まず、最初に理解しておかなければならないのは、「VOCALOID」というソフトウェア(音声合成技術)と、「初音ミク」という音声ライブラリ、キャラクターは、全く別モノである、という事です。
なになに? どういう事?
ミクちゃんって、ボカロじゃなかったの?
まずは、下の表を見てください。
名称 | 概要 | 製作会社 |
VOCALOID | 音声合成技術ソフトウェア | ヤマハ |
初音ミク | VOCALOIDで利用できる音声ライブラリ | クリプトン |
VOCALOIDは音声合成を行うソフトウェアです。VOCALOIDソフトウェアだけでは実際に声を作る事ができません。そこで、初音ミクなどの「音声ライブラリ」と言われる、VOCALOIDで合成を行う材料となる「声」が別に必要となってきます。音声ライブラリは、初音ミク以外にも「鏡音リン・レン」「GUMI」など、様々な「声」が発売されています。
例えば上の表の場合、VOCALOID使用の許諾はヤマハに、初音ミク使用の許諾はクリプトンに、別々にとる必要があります。
さらに、初音ミクとGUMIも別モノ⁉
ミクもGUMIも、同人誌なんかでは並んで登場する事もあったりするので、全て同じボカロと思いがちですが、実は違います。何が違うかというと、それぞれの生まれが違います。具体的は、それぞれのボカロを製作した会社が違います。
製品名 | 販売社 |
結月ゆかり | AHS |
巡音ルカ | クリプトン |
がくっぽいど | インターネット |
猫村いろは | AHS |
氷山キヨテル | AHS |
歌愛ユキ | AHS |
Megpoid | インターネット |
Rana | ウィーヴ |
鏡音リン・レン | クリプトン |
初音ミク | クリプトン |
東北ずん子 | AHS |
兎眠りおん | ヤマハ |
※この表は、数あるライブラリの中の、ほんの一例です
つまり、1つの商品の中で複数の違う会社出身のボカロを使う場合、版権に関してはそれぞれの会社に個別に許諾を取る必要があります。冒頭で言及したPCLでカバーされるのは、この中ではルカ、ミク、リン・レン、という事になります。
VOCALOIDという技術の上で、様々な会社が、初音ミクやGUMIといったキャラクターや音声を作り出している、というイメージですね。
私のクラウドファンディングに必要な許諾は何か
まず、VOCALOID側の許諾についてです。
VOCALOID技術を使って合成された音声を楽曲に入れ、商用利用する事。こちらについては、基本的には許諾は不要です。VOCALOID音声自体は、他のシンセサイザーなんかで作られた音と同じで、「楽器の一種」という扱われ方をします。
ただし、商品パッケージの中で「VOCALOID」という言葉を記載した場合は異なります。これはヤマハの登録商標となりますので、まず、非営利利用の場合は「VOCALOID™️」と記載した上で、
「VOCALOID(ボーカロイド)」および「ボカロ」はヤマハ株式会社の登録商標です。
の注釈記載が必要です。そして、商用利用の場合は、個別にヤマハに問い合わせが必要となります。今回の私の場合は、CD盤面に「VOCALOID」の文字を使っていますので、個別にヤマハに問い合わせが必要となりそうです。
ところで、登録商標なのに™️を使い続けているのは何故なんでしょうね。。。
次に、キャラクター側の許諾についてです。
キャラクターの音声自体については、上記同様、楽器の一種として扱われる為、商用利用には問題がないようです。ですが、キャラクター画像や名称を記載するとなると、やはり話が変わってきます。
今回、私のCDでは、表紙及び盤面において、tda式の初音ミクMMDを利用しています。tda式の版権文書を読むと、PCLに準拠する、とあります。つまり、PCLを護る事ができれば、使用できる事になります。
PCLでは以下の様に規定されています
・同人頒布:ピアプロリンク申請
・商用利用:申請フォームから申請
今回は商用利用になると思われますので、ミクの画像については申請フォームからの申請が必要なようです。これでNGと言われた場合は、パッケージや盤面デザインを変える必要がありそうですね。。。
次に、私の楽曲の中に「したがって、初音ミクはハゲである」という物があります。これは、曲の中に「初音ミク」というワードが出てくるため、同じく許諾申請が必要になります。しかも「ハゲ」としている為、「キャラクターのイメージを損なう」としてNGとなる可能性が結構高いです。この場合、当該楽曲はCD選曲から外す必要がでてきます。
【7拍子】 したがって、初音ミクはハゲである 【オリジナル曲・変拍子・初音ミク】
まあ、始めから外しておいた方が無難そうですね。。。
恐らく、以上です。
これらの版権関連を当初に担保しておく必要があります。
まとめ
・VOCALOIDおよび音声ライブラリの商用利用には、許諾が必要です
・音声自体は楽器と同じ扱いなので、許諾は不要です
・「VOCALOID」や「初音ミク」といったワードやキャラクタを使う場合は、許諾が必要です
・VOCALOIDと音声ライブラリは違う会社が作っているので注意が必要です
・音声ライブラリも、キャラによって会社が違うので、注意が必要です
以上です。
ではまた、変態発明ブログでお会いしましょう。
バイバイ!
※追記
こちらの記事で書いている「クラウドファンディング」ですが、無事に成功しました。現在、BOOTHで完成品をお分けしていますので、ぜひご覧くださいね。
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